GAME Whitepaper 2.0

概要

GAMEは、プレイヤーや開発者、投資家など、ゲームを愛する世界中の様々な人々が一体となって直接的にその運営に参画できる、自律分散型のゲームプラットフォームである。 ゲーム内のアイテムなど価値あるデータはGAME Hubでトークン化し、分散的に管理する。トークン化されたアイテムはプレイヤー自身のウォレットで保管可能となり、自分の意思で取引が可能となる。 つまり、GAMEは、ブロックチェーンを活用することでトラストレスでパーミッションレスなアイテム取引を実現する。 また、GAMEは、モジュール化されたカスタマイズ可能ないくつかの仕組みをゲーム開発者に提供することで、分散型ゲーム開発の参入障壁を大きく低減させる。 このような進歩的で適応性のある仕組みを機能させるために、コミュニティによるガバナンスが必要不可欠となる。 GAMEが今後も革新的な分散型ゲームプラットフォームであり続けるために、ほぼすべての要素を順次必要に応じてアップグレードしていくことが重要である。 自律分散型のプラットフォームであるGAMEでは、マーケットプレイスやステーキングリワード、独自の取引プラットフォームにおけるインセンティブなどの既存のパラメータや既存機能及びアプリケーションの改変、新機能及びアプリケーションの実装に際し、コミュニティメンバーは、意見を述べたり、積極的に議論を行ったり、投票したりするなど、ガバナンスに参加する必要がある。

「自律分散型のプラットフォームを構築し、持続可能な成長をしながらエコシステムを拡大していく。」

GAME プロジェクトそのものが、壮大なMMO(大規模多人数同時参加型)RPGである。

定義

GAME(全て大文字) … プロジェクトの名称

Game or game ...一般名詞としてのゲーム

GAME Hub …”GAME” ブロックチェーン

$GAME … GAME Hub上の基軸通貨

導入

Our Vision

GAMEは、世界中のゲーム好きが一体となって直接的にその運営に参画できる、自律分散型のゲームプラットフォームの構築を目指している。 創業者やコアチームが主役となるのではなく、このコミュニティに属する全てのゲーム愛好家が主役である。真の意味で自律した分散型のエコシステムであるためには、コミュティメンバーそれぞれの意見をプロジェクトに反映することができる高性能なガバナンスシステムが必要となるが、GAMEは、TendermintやCosmosSDKを用いることで、これを構築する。 ガバナンスによってオンチェーンパラメーターの調整やコミュニティプールにデポジットされた資金の利用方法について決定が行われるという次世代の分散型エコシステムの持続可能な成長を確実なものとするためには、最適化されたガバナンスが必要であるが、そのためにはコミュニティメンバーは積極的な改善の提案や投票活動を行なっていかなければならない。 “ゲーム好きが純粋にゲームを楽しむために、新たなゲームの開発を支援する。” ゲーム愛好家にとっては堪らない、究極的な自律分散型ゲームプラットフォームの構築を実現したい。

ユニークポイント

コミュニティ主導で分散的に運営がなされる仕組み

上部から下部に指示系統があり、それに従って管理されるという従来の一般的な中央集権化された組織構造に対し、GAMEが根本的に異なるのは、独立したコミュニティメンバー一人一人が自発的な行動を行うことの積み重ねの中で発展していく自律分散型の組織であるという点である。 自律分散的な組織であるGAMEでは、ステーキングや流動性の供給に対するインセンティブパラメーターの調整からマーケットプレイスやトレードにおける手数料パラメーターの調整、またそうして蓄積されたコミュニティプールの資金の使用用途の決定、コラボレーション企業の選定まで、GAME Hubのオンチェーンガバナンスを通じて行われる。 誰か一人の絶対的な管理者によって決定がなされることがないため、組織の独裁化を防ぎ、多様性のあるエコシステムの構築を可能にする。

ゲームプレイヤーが恩恵を受ける仕組み

従来の中央集権構造を持ったゲームにおいては、課金やゲームプレイを通じて獲得したアイテムの所有権はプレイヤーに帰属せず、ゲームの運営会社に帰属していた。従ってプレイヤーは、自らの意思でゲーム内アイテムを売買することができなかったため、ゲームを引退するときには、保持しているアイテムは無価値化していた。 ゲーム会社にとっては価値を維持させないことが短期的な売上に繋がるため、敢えてプレイヤーに不利な仕組みにしていたとも言えるだろう。 プレイヤーがゲーム内の努力によって手にした価値をゲーム引退後も維持できるようにするためには、ゲーム内で獲得したアイテムの所有権がプレイヤー側に帰属し、自由に取引を行える仕組みが必要となる。 そこでGAMEでは、ゲーム内のアイテムをGAME Hub上でトークン化することで、ゲーム会社による中央集権的な管理から脱却し、ユーザー自らがアイテムを管理することができるプレイヤーフレンドリーな仕組みを提供する。 これによりプレイヤーは自らの意思でアイテムを知人に譲渡したり、GAME MarketPlaceを通して売却したりすることが可能となる。このようにして売却されたアイテムはGAME Hubの基軸通貨$GAMEとなるが、この$GAMEは、Cosmos Ecosystem内のDEXを通じ、他の仮想通貨に変えることも可能である。

こうした一連の自由な経済活動が可能となることで、プレイヤーは、GAME Ecosystem内のGame A を引退し、 Game Bを新しく始める際にも、従来では無価値化していたアイテムの価値を保持することができる。 進化を続けるゲーム空間内においてゲーム内アイテムがデジタル資産として管理可能になることは、多様な経済活動を生むことに繋がり、プレイヤーはより自由で魅力的な次世代型分散仮想空間を楽しむことができるようになる。 ゲームによる努力が無駄にならない。そして、ゲームでお金が稼げると言うのは、ゲームを愛する全ての人にとって、最上の喜びとなるであろう。

ゲーム開発者が容易に開発及び運営を行える仕組み

GAMEでは、ゲームの開発及び運営における障壁を積極的になくす努力をしていこうと考えているが、特に、4つの方法によって、ゲーム開発者によるゲームの開発及び運営をサポートする。 まず1つ目は、ゲーム開発及び運営のための資金調達についてである。 小規模なゲーム開発者は、面白いゲームアイデアを持っていたとしても、開発を行うだけの資金がない場合が多い。従来は、資金調達には難易度があった。そんな資金不足のゲーム開発者たちがアイデアを披露し、それに共感するサポーターから容易に資金調達を行える仕組みがあれば、この問題を解決することができる。GAMEでは、新たなゲーム開発のための資金調達を容易に行えるような資金調達プラットフォームを提供する。  このプラットフォームでは、多種多様なアイデアをプレイヤーや投資家がみて、出資の判断を行う。仮想通貨という決済手段を用いることで、グローバルに資金調達を容易に行えるこの仕組みがゲーム開発の助けになることは間違いないだろう。 

次に、2つ目は、決済システム及びパブリッシュプラットフォームの提供についてである。 ゲーム開発の後、リリースを行い、マネタイズのフェーズになると必ず、決済システムやパブリッシュのためのプラットフォームが必要となる。しかし、自らそれらを持たない、ゲーム開発者は、これを大手のプラットフォームに依存しなければならず、多額の手数料を支払う必要があった。 一般的にゲームの世界では、ゲーム売上の30%から、国によっては最大90%をプラットフォームに対し、支払わなければならないといったことがあるのだ。  GAMEはこの法外とも言える決済及びパブリッシュ手数料を圧倒的に減らすことができる。 ブロックチェーン技術を用いた決済システムは、分散化させることで、中央集権的な第三者機関を必要とせずとも、高度なセキュリティを実現しており、さらにパブリックチェーンはオープンなものであるため、決済システムの導入に対し、利用料がかからない。 もちろんチェーン維持のため、トランザクションを発行させる際には各ユーザーは手数料を支払う必要があるが、ゲーム開発者に対する、決済システムの利用ついては無料である。 また、パブリッシュに関してもGAMEでは、圧倒的な低コスト化を実現する。具体的な手数料の割合についてはコミュニティメンバーによるガバナンスによって決定していくべきであるが、ゲーム開発者にフレンドリーな手数料設定にするのであれば、数%程度が好ましいのではないかと考えられる。 さらには、こうして支払われた手数料も従来であれば、プラットフォーマーの利益として計上され、ゲーム開発者に還元されるものではなかったが、GAMEの場合は、コミュにティに還元されることとなるため、GAME全体の発展に繋がり、ひいては、間接的に自らのゲームユーザーを増加させることになるため、コミュニティに属する開発者にとっては結果的にプラスに作用する。 こうした手数料の破格な安さは、エコシステムの拡大を第一とし、目の前の短期的な利益を求める必要のない自律分散型組織ならではメリットと言えるだろう。

そして、3つ目は、分散型ゲーム開発のための各種機能やアプリケーションの提供についてである。 ゲーム開発者がブロックチェーンを使ったゲームをつくる上で、一からブロックチェーンを作らなければならないとなると、それはあまりにも参入障壁が高く、現実的ではない。 そこでGAMEは、ブロックチェーンを一から作ることができないというゲーム開発者が分散型ゲームの開発を実際に行っていくために、必要な機能やアプリケーションを事前に用意し提供する。 また、ゲーム開発会社との積極的なコミュニケーションの中で、GAMEコミュニティ内のエンジニアによって直接的なサポート体勢を整えることで分散型ゲーム開発の参入障壁を低くする。

最後に4つ目は、キャラクターやアイテムなどフリーなオープンアセットの提供についてである。 一般的なゲームによく登場する「ポーション」や「薬草」などの回復アイテム、「エクスカリバー」や「グングニル」などの武器、ヒューマン、ドワーフ、エルフ、ゴブリンなどキャラクターを、2Dまたは3Dでデザインしておき、GAME Ecosystem内の様々なゲームを跨いで使えるようなFT、NFTとして予め発行する。 こうしたアセットの使用をGAME Ecosytem内の全てのゲームに許可することで、ゲーム開発の際のアセットデザイン費用などを一部節約することや、特定のトークンホルダーに絞ったピンポイントなマーケティングが可能となる。 オープンアセットを充実させるため、オープンアセットのデザインに対してインセンティブを設けるなどもガバナンスで今後議論していきたい。

機能とアプリケーション

GAMEで今後実装を行っていく具体的な機能やアプリケーションについて紹介する。

Item Token

ゲーム内アイテムのトークン化は、プレイヤーがゲーム内アイテムの所有権を管理し、自由な取引を可能にする上で、最も重要な機能である。 GAME Hubでゲーム開発者が生成可能なトークンは主に二種類ある。Fundible(代替可能) トークンと Non-Fundible(代替不可能) トークンである。 前者は、ゲーム内に多数存在するポーションのようなアイテムに利用されるトークン形式で、 Ethereum における ERC-20 トークンに対応するものである。Fundible トークンとして発行されたゲームアイテムは、それぞれに差がなく一つ一つに代替可能性がある。 しかしながら、多くのゲームには個体値を持つユニークなゲーム内アイテムが存在し、ゲーム空間をよりエキサイティングにしている。ユニークな Level や攻撃力、スキル等を持つゲーム内アイテムはメタデータとしてそれらのステータスを保持し、Non-Fundible トークンとなる。これは Ethereum における ERC-721 トークンに対応するものであり、世界に一つしかない代替不可能なトークンとなる。 いずれのトークンに関しても、ユーザーは GAME Hub 上でデジタル資産として所有することができ、GAME MarketPlaceやゲーム内エスクロー機能を利用することで容易に取引が可能となる。

DEX

現在の仮想通貨の取引の多くは、運営主体がいる取引所を介して行われている。 取引所の意思決定において、中央集権的な手法を用いるため、こうした取引所のことを Centralized Exchange (CEX)と呼ぶ。こうしたCEXでは、ユーザーの資産は、まずユーザー自身の管理するウォレットから取引所のウォレットへと送られ、取引所内のデータベースで残高の管理が行われる。このとき、資産自体は取引所が保管する形になるため、ユーザーは、取引所を信頼(トラスト)する必要があり、自らのデジタルアセットは完全に第三者(取引所)に依存している状態になってしまう。 この状態には大きなリスクがある。 実際過去に、中央集権的な取引所では、取引所がユーザー資産の持ち逃げをしたり、ハッキングにより顧客の資産が流失してしまったりする事件が何度も発生している。 さらにCEXには、単一障害点が存在するため、アクセス集中や DDoS 攻撃などによって、ブロックチェーンではなく、取引所のサーバーがダウンし、取引ができなくなる恐れもある。 一方、GAMEで実装がなされる、運営主体が存在せず、分散的に取引が実行される取引所のことを Decentralized Exchainge (DEX)と呼ぶ。 ユーザーは常に自分で資産を管理することができ、取引の際には、ユーザーは自分のウォレットから取引用アドレスにトークンを送りデポジットするので、第三者を信頼せず(トラストレス)に取引を行うことができる。

GAME Hubでは、前述の通り、第三者機関を介さない、トークン(Fundible Token)の分散取引を実現するために、DEX を構築し、プレイヤー同士が自由にトークンを売買できる環境を整える。 GAME HubのDEX では、$GAME を基軸通貨として、GAME Hub プラットフォーム上のあらゆるトークンと取引することができる。 トークンと$GAMEの取引レートは、AMM アルゴリズムに基づき、需要と供給が一致するポイントで均衡し、決定される。供給量が少なく、需要の多いトークンほど高値がつく仕組みになる。 しかし、こうしたトークンは流動性がないと取引が行えず、実用性に欠けてしまうため、多くの流動性を生むインセンティブ設計が重要になる。 流動性の供給者に対し、$GAMEをどれぐらい分配するべきかなどの決定はガバナンスを通して行われる。

MarketPlace

GAMEマーケットプレイスでは、GAMEエコシステム内で流通するNFTの売買及びオークションを行うことができる。 ゲーム内で高いユーティリティを持つトークンは、プレイヤー間でその需要と供給に応じた価格で取引がなされる。そのため、ゲーム内の努力によって手にしたレアなアイテムを高額で売却することができれば、ゲームをするだけで大金を稼ぐことも不可能ではない。 ゲーム内の努力によって手にした価値を持続的に維持していく上で、マーケットプレイスは非常に重要な仕組みである。

エスクロー取引

ゲーム内で知り合った他プレイヤーとのアイテム取引を不正なく円滑に行うためのエスクロー取引機能。 お互いにエスクロー専用のアドレスにトークンを送信し、両者のトークンの入金が完了した時点で、モジュールで定義されたトークンの振替送信関数が自動執行され、エスクロー取引が完了する。 なお、交換するアイテムは必ずしも1種類1個のアイテム対1種類1個のアイテムである必要はなく、種類や個数など、それぞれあらかじめ設定した通りにエスクローテーブルの作成が可能である。 そのため例えば、A Item×1 + B Item×2 +C Item×3 と D Item ×1 + E Item ×1のようなエスクロー取引も行える。 オンチェーンで自動的に実行可能なエスクロー取引によって、画面の向こう側にいる見ず知らずの人物を信用せずとも不正なく取引を行うことが可能になるというこの機能は、ゲーム内の自由度を高めることに大きく貢献する。

Funding

これまで世にリリースされてきたゲームの多くは、大手ゲームメーカーの下請けの中小ゲーム会社によって開発がなされ、大手ゲームメーカーがリリースをするといったものが多かった。 しかし、昨今では個人でも簡単にアプリケーションを構築することができるようになってきており、従来のように、大手ゲームメーカーに所属しないとゲームを作れないといった状況は変わりつつある。 GAME Hub では、個人のゲーム開発者や資金力に乏しい中小のゲーム会社をはじめとして、誰でもゲームプロジェクトのFundingを行うことができる仕組みを構築する。 Fundingを行うゲーム開発者は、コミュニティに対して新作ゲームの構想や出資者へのメリットを明確に提示したホワイトペーパーや企画書を提出する。 コミュニティメンバーは提出された資料に基づいて、コミュニティ内で厳密な精査・議論を行い、各自の判断に基づき、そのプロジェクトに出資をするかどうかを決める。 出資者は、資金調達用に用意されたアドレスに$GAMEを送金し、ネイティブトークンを受け取る。ネイティブトークン保有者は、ゲームがローンチした際にレアアイテムを優先的に獲得できる権利を得たり、あるいは、ゲーム売り上げの X% を自動的に$GAME で受け取ることができたりするなどの、予め定められた様々なメリットの恩恵を受けることができる。 このFundingの仕組みによって、出資者側は、新しいゲームを応援することができ、開発者側も資金の調達が可能になるため、円滑な開発が可能になる。 このような仕組みはGAME Ecosystemに新しいゲームを次々に誘致するサイクルを形成するとともに、新規ユーザーの獲得に繋がり、GAMEプラットフォームの成長に貢献する。 また、GAMEにおけるこのFundingの仕組みは、従来、ゲームに対して出資を行う際に存在していた問題も解決することができる。 従来、ゲームファンドを組成した場合に、投資家が配当を得られるのは、決算後の利益のうち数%であった。このときゲーム会社は、投資家への配当がプラスに働かないため、できるだけ投資家への配当を減らすべく、経費として出費を増やすインセンティブが働き、利益の圧迫を意図的に行うことがあった。このような不正により、投資家のメリットが徐々に減少することで、投資家によるゲーム出資を消極的にさせ、業界全体の発展を阻害していた。 さらには、高度に設計された配当システムを持たない、ゲームへの投資の場合は、投資家に配当が回ってくるのは、数ヶ月後というのも珍しくなく、ゲーム業界への投資の足枷となっていた。 しかし、GAMEでは、Funding機能を利用することで、ゲームで生じた売上を必ず分配するという仕組みを実装できる。 このようなトラストレスな報酬分配システムを利用することで、開発者側の不正などを心配する必要がなくなり、投資家は従来にまして、積極的にゲームプロジェクトを投資の対象とみなすことができるようになる。

Claim

Claimモジュールは、GAME Hub上で発行されたClaimトークン保有者に対して、その保有比率に応じてモジュールアカウント内で管理されているトークンが分配される仕組みを管理するモジュールである。

例えば、Funding 機能によって、あるゲームコントラクトの売上の一部がモジュールアカウント内に移動すると、Claimトークンを保有者は、保有比率に応じてClaimすることができる。

GAME ID

GAMEでは、各アドレスにGAME IDの設定を行えるような機能を追加する。これにより、トークンの送金の際に複雑なアドレスを入力しなくても、ゲーム内で親しみのあるIDを指定して送金できるようになる。 また、このようにして設定されたGAME IDをそのまま使って、署名一つでゲームに登録、ログインできるようになる。 これにより仮想通貨に親しみのない一般的なゲームプレイヤーの参入障壁を低減させるとともに従来にましてストレスフリーなゲーム体験をユーザーに提供する。

乱数生成モジュール

GAMEでは、ガチャにおけるレアアイテムの出現率を運営がごまかせないよう、不正のないガチャを行えるようにする。 そこで重要になるのが、オンチェーンでの乱数生成である。コンピュータで完全なランダム数を生成することは非常に難しい課題として知られているが一つのアプローチとして、TEE(Trusted Execution Environments)を利用した秘匿計算を使って乱数を生成することが考えられる。 TEEとは、コンピュータの中にある特別な領域のことで、ブラックボックスのように機能し、その中で秘密裏に計算を実行することができる。TEEは、スマートフォンに搭載されている指紋リーダーなど、日常的に使用されているさまざまなハードウェアに利用されている。このTEEの仕組みを利用し、Cosmos Ecosystemでオンチェーンで秘匿計算を可能にしているのが、Secret Networkにおけるcomputeモジュールである。ネットワーク上の秘密ノードは、このセキュアエンクレイブを利用して、秘密契約で使用するデータを保護することができる。 GAMEでは、この仕組みを活用することで乱数生成モジュールを作成することを目指す。 他にも革新的なプライバシー・ソリューションとして、マルチパーティ・コンピューティング、同型暗号、秘匿共通集合計算などが考えられるが、現在のアプリケーションで実運用するのには適切であるとはいえない。スケーラビリティ、パフォーマンス、セキュリティは常にトレードオフの関係にあり、様々なソリューションを模索し、研究し続ける必要がある。

エクスプローラー

エクスプローラーでは、トランザクションの確認をはじめとして、各アドレスの中身の確認などを行うことができる。 PoSベースのコンセンサスアルゴリズムが採用されているGAME Hubでは、ブロックを生成するValidatorと呼ばれるノードが存在している。また、GAME Hubでは、Onchain Governanceとして、投票を通してコミュニティの意思決定を行う機能があるほか、IBCトランザクションが実行可能になっている。 エクスプローラーではこうした機能へのサポートが必要であるが、GAMEで既に用意されているエクスプローラーではgovernanceモジュールやIBCモジュールに対応し、投票結果やIBCトランザクションの中身を確認することができるようになっている。

プラットフォーム

GAME Ecosystem内のゲームが並べられた、ユーザーにとって使いやすいゲームプラットフォームを構築する。 このとき、ゲームプラットフォームへのリストアップはGAMEでのガバナンスによって認められる必要がある。 投票によって認められるために、Community Poolに対し、$GAMEで費用を支払ったり、ネイティブトークンをシェアするなどといった提案を行うこともできる。

構造

Game Hubは、ゲームに特化したブロックチェーンをTendermintおよびCosmosSDK、CosmWasmを利用して構築する。

Tendermintの利点

Tendermintを利用した独自チェーンとして実装することで、次のようなメリットを享受することができると考えられる。 Tendermintは、ABCIと呼ばれる規格に沿ったインターフェースを自由に実装することができるので、blockchain上でのstate-machineを独自に実装することができる。 また、アプリケーション側で、validatorの数やgasの設定、トークンモデルの選択などを自由に行うことができる。これはコミュニティ主導のブロックチェーンプロジェクトとしては必須である。Tendermintのコンセンサス・アルゴリズムは、さらに広義のPoSなので圧倒的なTPSを実現することが可能になる。 加えて、Ethereumと違って、他のプロジェクトとリソースを競合する必要がないのも大きなメリットの一つと言える。Ethereumでは様々なステイクホルダーが関係するために、容易にバグを修正することはできないが、tendermintベースの独自チェーンではコミュニティ内でのガバナンスを通して、合意のもとバグの対応することができる。 また、ゲームアイテムの仕様が変更になったなどの場合の時も、後述するCosmWasmのmigrate機能によって容易にupgradeすることができる。

CosmosSDKの利点

CosmosSDKを利用することでカスタムモジュールを作成することができる。GAME Hubでは、独自にカスタマイズしたNFTモジュールの作成を行う。さらに、CosmosSDK内のIBCモジュールとオフチェーンプロセスであるrelayerを利用することで、外部のTendermintベースのチェーンと簡単に相互作用をすることが可能になる。これにより、CosmosHub上で実装されているDEXを始めとして、Cosmos Ecosystem内の数々のDEXに上場することによって、ユーザーは$GAMEとほかのトークンの売買を行うことができる。

CosmWasmの利点

CosmWasmは、Cosmos SDKにプラグインできるモジュールである。CosmWasmは、スマートコントラクトのためのマルチチェーンソリューションとして、一から設計・構築されており、すでに様々なプロジェクトで利用されている実績もあるオープンソースプロジェクトである。ゲーム開発者の視点から考えたときに、1から独自チェーンを構築してゲームに組み込むというのはハードルが高い。そこで、GAME Hubでは、CosmWasmを利用してゲームに特化した汎用的なスマートコントラクトを実行できる環境を用意する。ゲーム開発者は、GAME Hub上のNFTモジュールを利用するとともに、CosmWasmのコントラクト側でゲームロジックを自由に書くことができる。

CosmWasmで採用されているActor Modelについて

Actor Modelは、分散システムを構築する際のデザインパターンの一つで、各Actorは自分の内部stateのみを管理できる権限が与えられており、他のstateの書き換えを直接行うことができない仕組みである。もし、他のstateを書き換える必要がある場合は、メッセージを送ることで変更依頼をかけることになる。 CosmWasmでは、任意のコントラクトが別のコントラクトを直接呼び出すことを防ぐことで、EthereumのSmart Contractで起ったDAO事件のようなSmart Contractの仕様の脆弱性をつく攻撃(リエントランシ攻撃)を未然に防いでいる。悪意のあるコードへのインライン関数呼び出しは、セキュリティ的な脆弱性を生む。 CosmWasmで採用されたActor Modelのアプローチでは、任意のコントラクトが同じトランザクションで実行されるメッセージのリストを返すことを許可している。つまり、コントラクトは、終了後に起こる送信を要求したり(例:エスクローの解除)、他のコントラクトを呼び出すことができる。もし未来のメッセージが失敗したら、コントラクトの状態の更新を含めて、トランザクション全体が元に戻ることになる。

Interoperable Sovereigntyの特徴

Ethereumが抱える問題点[付録A]を一時的に解決すべく分散性を犠牲にし性能に特化したプラットフォーム[付録B]がたくさん登場したのは記憶に新しい。また、Polkadot[付録C]のような新しいセキュリティモデルを持つプラットフォームも誕生している。しかしながら、ハッキングを始めとしたセキュリティの脅威にさらされたときに、プラットフォームに依存しているがゆえに、大きな被害を受ける可能性がある。 こうした状況下で、重要な概念は、「interoperable sovereignty」である。

sovereigntyとは、狭義には、他のリソースの影響を受けず、アプリケーションが独立していることを指す。sovereigntyが達成されていない場合、例えば、Binance Smart Chainで実装されているコントラクトにバグがあった場合、そのコントラクトを参照しているアプリケーションでも同様のバグをつくような攻撃を受ける可能性がある。また、あるプロジェクトが爆発的に人気になった場合、他のプロジェクトはガスの高騰やトランザクション処理速度の低下といった問題に直面する。こうしたアプリケーションの安全性やスケーラビリティの観点からみたときにsovereigntyは重要な要素になる。

今後10年で様々なブロックチェーンプロジェクトが誕生し、文字通り「Internet Of Blockchains」を構成していくと考えられる。チェーンやトークンは、新しく作られては、消滅し、成長しては、縮小し、分裂しては、統合されていくであろう。こうしたダイナミズムのなかで、各チェーンやトークンは、各々のコミュニティを形成する。こうした個々のコミュニティとの相互作用の連鎖が同じく重要な要素になる。IBCを通して、こうした個の役割を持ったコミュニティ同士のコミュニケーションが行われることで、単一障害点を持たない、疎結合的な繋がりが形成されるであろう。 CosmosSDKを利用したアプリケーションに特化したブロックチェーンでは、独立したブロックチェーンであるためそのような心配はなく、また、IBCを通して相互にトークンの送受信等の通信を行うことができる。

Conclusion

ブロックチェーンは、中央集権的な第三者機関を介さずに P2P(Peer to Peer) で取引を承認することができる技術で、ビットコインを中心に発展してきたものの、改竄耐性と高可用性を持ち、業務コストの大幅な削減を可能にする新しい技術として各界で注目を集めている。 送金や決済の面ではもちろん、その他にも国際送金や IoT への応用も試みられており、現に様々な分野で実証研究が進んでいる。しかしながら、どの事例をとってみても実用化されているというには程遠く、まだまだ発展途上であるのが現状である。 2017 年には、様々なブロックチェーンプロジェクトがローンチし、ICO による資金調達が盛んに行われた。しかし、一部では、ブロックチェーンを使う必要がないのに、無理やりブロックチェーンと関連づけることで ICO により多額の資金調達を行う、詐欺的なプロジェクトも存在した。 ブロックチェーンの本質的な価値は、”trustless”かつ”permissionless”であるのにも関わらず、それを無視したプロジェクトは、既存の仕組みと変わりなく、次世代を作る革命をもたらすものとは言えない。 ブロックチェーンの意義を真に理解した上で、ブロックチェーンプロジェクトの命運を握るのは、プロジェクトを支えるコミュニティの存在、token の利用価値、そして、product そのものといっても過言ではない。コミュニティは、本質的に、オープンソースで、非営利であるという信念を持った bottom-to-top のエコシステムであり、既存の top-to-bottom のビジネス的なエコシステムとは全く異なる。token は、価値の所有権を表すものであり、単なる電子データでありながら、仮想世界に新しい経済圏を生み出す重要な役割を持つ。product は、ブロックチェーンを利用した技術的な成果物そのものである。コミュニティの存在やトークンの価値がない場合、たとえ、pruductだけできたとしても、それは、ブロックチェーンプロジェクトの魅力を十分に引き出しているとは言えないのである。ブロックチェーンのユースケースが乏しい状況下で、数あるブロックチェーンプロジェクトの未来を決めるのは、ユースケースとして確立したプロジェクトの存在である。 ブロックチェーンプロジェクトである GAME Hub は、世界的にブロックチェーン技術の実用化が試みられている中で、ゲームに関するユースケースとしての地位を確立するために、実用的な価値に基づいたブロックチェーンや付随する拡張アプリケーションを構築していく。これを達成するためにも、GAME Hub はユーザーにアイテムの所有権を確立すべく、ゲーム内のアイテムトークンの実現に注力するとともに、ユーザー間のトレードを円滑にするための GAME Hub内のDEX、ゲーム開発者向けの GAME Hub 内のFundingシステムならびに SDK の開発を行う。GAME Hub は、コミュニティ主体の運営を行うとともに、$GAME を GAME Hub 内の基軸通貨として扱うことで、token に価値を付与し、従来のゲームのあり方を変えるような分散型ゲームプラットフォームを創り上げ、仮想世界でのトークンエコノミーを実現する。 一方で、GAME Hub は新しいゲームのあり方を社会に提示する役割も担っている。どんなゲームをやってもすぐに「飽き」がやってくるのは、ゲームの先にあるものを見失っているからかもしれない。所詮ゲームは、娯楽の一部に過ぎず、現実世界とは無関係な空虚なものに過ぎないという思い込みに支配されているからかもしれない。 しかし、e-スポーツの発展に伴い、世界中で従来のゲームのあり方が見直されてきている。また、ブロックチェーン技術を使うことで、発展途上ではあるが、改ざん不可能性や高可用性を保持したまま分散的にデジタルデータを蓄積することが可能になりつつある。ゲーム内でどんなにうまくプレイしても現実世界では評価されないという時代は終焉を迎え、ゲーム内でのプレイが、現実世界で感動をもたらしたり、他者からの羨望、優越感を得る新しい時代がゲームの業界においても目前まで迫ってきている。そのような時代背景をふまえて、分散型ゲームプラットフォームとしての GAME Hub は、プレイヤーの目線に立った新しいゲームの価値観を提供するとともに、感動、称賛、優越感など、プレイヤーによって様々であろうが、これまで曖昧になってきたゲームをプレイする目的を再度明確にすることで、真にやりこめる、”圧倒的に自由でリアルな”仮想空間の構築を目指す。新しい時代を作るのは、私たち若い世代であると信じて。

全てのゲーム愛好家に最高のエンターテイメントを届けるために

Appendices

付録A Ethereumが抱える課題

Ethereum ネットワークは、全ての分散型アプリケーションを実装可能にするようなプラットフォームであるため、あらゆるプロジェクトが同時に Ethereum 上で開発を進めている。そのため Ethereum ネットワークは大量のトランザクションを処理する必要に迫られている。2021年11月では、約17 万件もの未確認取引が恒常的に生じ、取引手数料も高騰している。この背景としては、DeFiなどの新しいアプリケーションが登場したことやNFTバブルの再燃が挙げられる。

TPS(Transaction per Second) に着目すると、Bitcoin に比べれば改善されているものの、1秒間に15 トランザクションというEthereum の数字は今後増大が予測されるネットワークに対して明らかに不足しており、また即時決済性が要求されるゲーム産業においては大きくUXを低下させることに繋がる。オフチェーン技術などを用いた改善案が議論されているが、実装の時期や実現可能性は不透明である。加えて、The DAO 問題への対処としてシステムがロールバックされたことやハードフォークによるコミュニティの一部分裂が起きたことも留意すべき点である。Ethereumの利用は、いくつかの問題点と様々なプロジェクトが介入することによるリスクを内包しており、Game Hub が目指す自由な仮想空間の実現にはゲームに特化したユーザーエクスペリエンスの高い新たな枠組みが必要である。

付録B Ethereumを模倣した新しいプラットフォームの登場

世界大手取引所であるBinanceが開始したBinance Smart Chain (BSC)は、EthereumのクライアントであるGo-ethereumをフォークしたプロジェクトでコンセンサス部分を従来のPoWからDPoSに21のvalidatorによってコンセンサスを取っている。BSCは、実態はプライベートチェーンで、Ethereumよりもコンセンサスにかけるコストを大幅に削減することで、大量のトランザクションをさばくことに成功し、pancakeswapを始めとして様々なプロジェクトが利用する一大プラットフォームになった。

同様に、PolygonやSolanaといった、大量のトランザクションをさばくことができる、使い勝手の良いチェーンがいくつも登場し、現在はプラットフォームの乱立が起きている状態と言っても過言ではない。

付録C CosmosとPolkadotの違い

CosmosとPolkadotは、ともに相互運用性をもつブロックチェーンを簡単に作れるという共通点がある一方、セキュリティモデルに関して大きな違いがある。Polkadotでは、Relay Chainと呼ばれる親チェーンと、parachainと呼ばれる子チェーンがある。Relay Chainでは、接続された各parachainのグローバルな状態を管理する。Relay Chain内では、GRANDPAと呼ばれるコンセンサス・アルゴリズムによってブロックのファイナリティの得る。Polkadotでは、Relay Chainのセキュリティをparachain側が享受できるという「shared security」というモデルが採用されている。一方、Cosmos Networkでは、各チェーンは独立し、自分のチェーンのセキュリティはチェーンごとのvalidator setが担保する。また、Polkadotの場合、Relay Chainに接続可能なparachainは、現時点では100と決まっており各parachainは、parachainオークションと呼ばれるメカニズムを通してRelay Chainと接続することができる。その際、大量のDOTを購入しロックする必要がある。Cosmos Networkでは、誰でも自由に独自チェーンを構築し、他チェーンに接続をする事ができる。

注意

この文書はコミュニティ内での議論を活発化させるための情報提供のみを目的としており、Game Hub、または関連する会社の株式または有価証券を売却する勧誘を目的とするものではありません。そのような勧誘は、法律の条項に従ってのみ行われます。提示された情報や分析のいずれも、投資判断の根拠となるものではなく、具体的な推奨事項はありません。したがって、この文書は、投資に関する助言や勧告、投資に対する投資勧誘を構成するものではありません。本書は、証券の売却、または証券の購入に関する勧誘を目的としたものではありません。Game Hubは、本書に記載された情報の誤り、漏れまたは不正確さから、直接的または間接的に発生するあらゆる種類の損失及び損害に関する一切の責任を負わないものとします。なお、本書に記載されている情報は、将来予告なしに変更することがあります。この文書(edition 2.0)は今後改定される可能性があり、最新の文書は Game HubのGithub(https://github.com/cosmos-gaminghub/whitepaper )に掲載されています。

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